2018年02月01日

移転価格税制の概要

1.移転価格税制とは 

移転価格税制とは、企業が海外子会社等と取引をする場合に、現実の取引価格ではなく、独立企業間において通常設定される価格「独立企業間価格」を用いて、これを基に課税所得を計算する税制をさします。
近年、グローバルに事業を展開してきた大企業だけではなく、アジア等に海外進出している中堅・中小企業も税務当局の移転価格調査の対象となってきています。
移転価格税制におけるリスクは、所在国の税務当局から移転価格調査で申告漏れを指摘され、過去にさかのぼって所得を更正されて多額の税負担が発生して、企業グループ損益に多大なる影響を与えることです。
また、移転価格に関する文書化作成の義務を怠ったり、同一取引について国ごとに異なる説明をしたりすることで、コンプライアンス上の問題に発展することも、企業のリスクとなります。
特に、多くの中堅・中小企業では、移転価格税制についての知識不足、認識不足などから、当該リスクに対処できていないのが現状となっております。

2.独立企業間価格について 

「独立企業間価格」とは、当該国外関連取引と同様の状況のもとで、独立第三者間において同種の取引が行われた場合に成立すると認められる価格をさしており、「経済合理性のある取引関係に基づく適正な価格」と言われています。
内国法人が「独立企業間価格」とは異なる価格で国外関連取引を行った結果、当該法人の所得が国外関連者に移転している場合は、日本の税務当局はその国外関連取引が「独立企業間価格」で行われたものとみなして、差額相当分を所得として課税することができるとされています。
したがって、移転価格に関する指摘を受けることを避けるためには、国外関連取引の取引価格が「独立企業間価格」となっていることを説明できるように準備しておくことが重要となります。

3.独立企業間価格の算定方法 

独立企業間価格の算定方法には、①基本三法およびこれに準ずる方法、②その他の方法があります。これらの算定方法のなかから最も適切な方法を選定して算定を行うことになります。 

①基本三法およびこれに準ずる方法 

  • 独立価格比準法(CUP法)
  • 販売価格基準法(RP法)
  • 原価基準法(CP法)
  • 上記方法(基本三法)に準ずる方法 

②その他の方法 

  • 利益分割法【PS法】(比較利益分割法、寄与度利益分割法、残余利益分割法)
  • 取引単位営業利益法(TNMM)
  • 上記方法に準ずる方法

4.移転価格税制における対応 

移転価格税制は日本だけでなく、世界各国で導入されている税制であり、日本と海外子会社所在国の移転価格税制に関する正しい理解が必要となります。
例として、日本側に多くの利益が計上されていて、日本でのリスクが低い場合には、逆に取引相手国でのリスクが高まることになります。
企業が成長している局面では、海外子会社との取引内容、当該取引に係る価格・コストといった損益状況は変化するのが一般的で、移転価格税制におけるリスクに対処するためには、継続的にモニタリングをして、何か変化があった場合は社内の移転価格税制に係る部署に適宜報告する体制が必要となります。
直近の税制改正において、原則、①国別報告事項、②マスターファイル、③ローカルファイルの移転価格文書の提出、または、作成・保存が義務化されました。
連結売上高や海外子会社との取引金額が一定未満の場合にはその義務は免除されますが、文書の種類ごとに作成義務の有無を検討して、必要に応じて当該文書を作成することが必要となります。

5.専門家の活用 

移転価格税制の概要をみてきましたがいかがでしたでしょうか。
移転価格税制は実際のビジネスの現場感覚と完全にフィットするということは稀です。移転価格税制が想定する制度趣旨とビジネスの現場感覚との落としどころを上手く見つけ出すことが非常に大事になります。自社単独で移転価格税制に対応していくのは一般的には非常に難しいです。
これからグローバルにビジネスを展開しようとお考えの企業、あるいは既にグローバル展開を行っていて移転価格税制の対応が必要な企業は、是非一度専門的な知識・経験を有する外部専門家の相談を受けることを推奨致します。

移転価格の相談事例

2018年02月22日 03時49分(匿名さんの相談)

海外に子会社があります。子会社は会社として完全には自立できていなく、必要に応じて当社は親会社として経営サポートを行っています。その対価として経営指導料を受け取っていますが、この海外子会社からの経営指導料も移転価格税制の適用対象となるのでしょうか。仮になる場合には、どのような対応が必要となりますでしょうか。

アドバイスについてよろしくお願い致します。

2件の書き込み
2018年02月02日 03時40分(匿名さんの相談)

当社はいわゆる中小企業に該当します。
税務上の移転価格対応としてどのようなことをすれば宜しいのでしょうか。
準備しなければならない書類や分析等についてのアウトラインをご教示頂けますと幸いです。

2件の書き込み
2018年01月24日 12時17分(匿名さんの相談)

当社はASEANに2拠点、北米に1拠点、子会社として事業を展開しています。
日本が製造拠点で海外子会社は全て販売拠点です。
現在の社内取引レートは日本での製造コストにマージンを乗せる形で決定しています。
マージンは国内取引で実現している粗利率を適用しています。
毎期国内粗利率は変動しますので、海外子会社への販売マージンも変動させています。
税務上の移転価格制度の観点からこのような海...

2件の書き込み