「のれん」の取り扱い

2018年02月17日

1.のれんとは

のれんとは一般的に会社の超過収益力をさします。
現行の会計基準においては、会社が事業を行う上で保有する全ての資産を計上するわけではありません。例えば、自社で抱える従業員について、毎年の給与の支払いは損益計算書に反映されますが、給与以上の価値をもたらしてくれるからこそ会社としては従業員を雇用するわけですが、その給与以上の価値(将来価値も含む)を評価し、資産として計上する基準は現行ありません(いわゆる自己創設のれんの計上は認められていません)。
しかし、その超過収益力の計上がM&A等の実施により顕在化する場合があり、その際にはのれんとして認識する手続が必要となります。のれんの処理は会計と税務で異なります。

2.会計処理

被取得企業の取得原価が、受け入れた資産・負債の純額を上回る場合の超過額を貸借対照表の無形固定資産にのれんとして計上し、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却します(ただし、その金額に重要性が乏しい場合には発生した事業年度において一括償却が可能です)。
償却額は販売費及び一般管理費に区分されます。他方、被取得企業の取得原価が、受け入れた資産・負債の純額を下回る場合の不足額を負ののれんとして、負ののれんが生じた事業年度の特別利益として一括処理します。
国際会計基準(IFRS)や米国会計基準におけるのれん(Goodwill)の処理は、原則としてのれんの償却は行わず、著しくのれんの価値が損なわれた場合だけ減損処理をすることとされています。
つまり、IFRSや米国会計基準を適用した方が、のれん償却の分だけ利益が増える可能性があるわけです。  
なお、負ののれんについてはIFRSや米国会計基準において処理に差異はありません(認識した年度で全額特別利益として計上)。

3.税務処理

税務におけるのれんは資産調整勘定、負ののれんは差額負債調整勘定といわれます。
これら税務上ののれんは税制非適格の際に生じるもので、税制適格の場合には発生しません。
税制非適格とは端的にいえば取得する資産・負債を税務上の時価に評価替えすることをいい、税制適格とは、取得する資産・負債を税務上の簿価で引き継ぐくことをいいます。
税制非適格処理により税務上の資産・負債(純資産)評価額と受け入れ対価との差額が資産調整勘定、あるいは差額負債勘定として認識され、60か月で均等償却されます(期中に発生した場合には月割り計算されます)。

4.経営上の観点

のれんは上記の通り損益計算書へのインパクトや課税所得の圧縮によるキャッシュフローへのインパクト等、経営的な観点でも非常に留意すべきポイントとなります。
例えば、銀行からの融資を活用してM&Aを実施する場合にのれんが多額に発生すると、銀行から買収価格の妥当性等について問い合わせがくるケースもあります。のれんは貸借対照表上無固定固定資産として総資産の一部を構成するため、のれんの評価額の妥当性如何によって総資産額、ひいては純資産額の金額にも影響するため、銀行としても目を光らせるべきポイントにもなります(純資産額の妥当性は大事な融資ポイントの一つ)。
金額妥当性の説明にあたっては、その説明に窮することのないようなストーリー作りや客観的な評価の妥当性を説明することが大事になりますので、必要に応じて専門家にアドバイスを仰ぐことも重要になります。

事業承継/M&Aの相談事例

2019年01月11日 07時45分(I.Wさんの相談)

M&Aの株式評価でDCF(ディスカウンテドキャッシュフロー)法を用いた場合にリスクフリーレートの算定が必要になるかと思いますが、一般的には国債の利回りを使うと聞きます。国債の利回りといっても様々ですが、どの期間が妥当でしょうか。

2件の書き込み/ 1名の士業・コンサルタントが回答
2019年01月10日 12時10分(I.Wさんの相談)

M&Aの株式評価の際に算出するNet Debt(ネットデット)は通常の借入金に将来の退職金支払い債務(退職給付引当金)を加算し、そこから現金預金を差し引けばいいのでしょうか。

2件の書き込み/ 1名の士業・コンサルタントが回答
ベストアンサーがあります
2019年01月10日 07時14分(I.Wさんの相談)

お世話様です。とある会社の買収を検討しています。対象会社は中小企業で、監査法人の監査も受けていません。開示された資料等を拝見すると退職金規定(従業員が対象)がありました。特に貸借対照表に退職給付引当金は計上されていないのですが、どのように評価すればいいのでしょうか。

4件の書き込み/ 1名の士業・コンサルタントが回答
ベストアンサーがあります
2018年12月28日 08時39分(匿名を希望さんの相談)

立て続けの質問で申し訳ございません。もう一点ご教示ください。
現在複数社のスポンサー候補に声がけ期間中であることは先の質問の通りなのですが、これから予定されているスポンサー候補先からの株価提案について社内でその妥当性の協議が提案の後に行われる予定です。必要調達額は決まっていますので、株価との見合いで議決権比率の問題にもかかわる問題と理解しております。当社は非上場会社ですので株式市場での株価...

1件の書き込み/ 1名の士業・コンサルタントが回答
ベストアンサーがあります
2018年12月27日 14時27分(匿名を希望さんの相談)

現在、資金調達に向け複数社のスポンサー候補に声がけ中です。今後のステップは、法的拘束力のない意向表明をスポンサー候補から受領し、その中から数社について本格的なDDフェーズに移って頂く予定です。他方で、現在、事業上の重要契約を取引先と締結することで動きをかけていますが、調印日がちょうどDD期間にかかりそうです。DD期間中でも取引先と重要契約を締結しても問題ないものでしょうか。

2件の書き込み/ 1名の士業・コンサルタントが回答
ベストアンサーがあります

事業承継/M&Aの相談回答で最近ベストアンサーを獲得

経営コンサルタント
経営者、CFO、経営企画へのサポートが可能です
投資ファンド投資先(民事再生法適用会社)での企業再生業務、投資ファンド投資先(売上2兆円規模の上場企業)における経営企画業務、投資ファンド...
公認会計士
税理士
宅地建物取引士
中小企業から大企業まで組織力による幅広いサポートが可能です。
2010年に独立後、これまでに中小企業から大企業まで幅広い業務を提供して参りました。弊社は業務範囲を明確にすることや、不要なサービスを削減す...
弁護士
【有楽町駅徒歩1分】【初回相談無料】「現場重視」を心がけ、貴社の「利益の最大化」のために法務部門を全力でサポートします!
弁護士登録後、石嵜・山中総合法律事務所にて数多くの企業法務案件を担当。特に、使用者側の人事労務分野(採用から契約終了に至るまでの労務相談全...
税理士
経営コンサルタント
24年余メガバンクに勤務、税理士業務も出来る経営コンサルタントです。
24年間のメガバンク勤務と5年間の事業会社への経営再建出向の経験をベースに、会計・税務といった税理士業務に関わらず幅広く中小企業経営のサポートを行っ...