2018年05月11日

債権回収にあたっての基礎知識

1.債権回収の重要性

企業は販売した商品やサービスに対する対価を受領し、その対価を使って資本(例えば、機械設備等の固定資産や商品の仕入代金、人件費等を総称)を投下、また新たな商品・サービスを販売していく、というサイクルを続けていきます。
販売した商品・サービスの代金回収がなければこの一連のサイクルが回らずに企業活動は止まってしまいます。よく黒字倒産という言葉を耳にしますが、これは商品やサービスは販売するものの、その代金の回収が行われないことで投下した資本が回収できず、資金が行き詰まり倒産してしまう状況をいいます。
企業経営にとって売上高や利益も大事な指標ですが、会社の資金の流れを止めないことは更に重要なことになります。キャッシュ・オン・デリバー(COD)という言葉を聞かれたことがあるかもしれませんが、黒字倒産を回避する最も有効な施策はキャッシュ・オン・デリバリーといえるでしょう。キャッシュ・オン・デリバリーとは言い換えれば代金引換払い(代引き払い)で、商品・サービスと引き換えにその対価を受領する取引形態になります。

2.債権の消滅時効

実は債権はその種類に応じて消滅する時効期間が異なります。債権の時効期間を過ぎると相手方がそれを放棄しない限りは債権の回収ができなくなってしまいます。債権の消滅時効の期間はその種類に応じて異なります。

債権の種類
使用貸借、賃貸借の借主の契約違反により生じた損害賠償請求権
1年
貸衣装、レンタカー、レンタルビデオ・DVD・CD等の延滞金
1年
旅館、飲食店、娯楽場の宿泊料、入場料等の代価または立替金債権
1年
運送賃
1年
賃金・労災補償請求他
2年
学校、塾等の授業料等
2年
生産・卸売・小売での売上代金
2年
弁護士報酬
2年
医師、助産師又は薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債権
3年
保険金請求権・保険料返還請求権・保険料積立金返戻金請求権

3年
退職金
5年
不当利得返還請求権
10年
不法行為に基づく損害賠償請求権
損害と加害者を知った時から
3年
不法行為日から
20年

3.時効の中断方法

債務者がその債務の履行をなかなか行わない場合にはまずは時効の中断を図りましょう。

時効の中断方法は裁判上の請求(訴訟)、支払督促、和解・調停の申し立て、催告等がありますが、このうち、和解・調停の申し立ての場合には相手方が出頭しない、あるいは和解・調停が調わない時には、1か月以内に訴えを提起しなければならず、催告の場合には、6か月以内に訴訟、支払督促の申し立て、和解・調停の申し立て等を行わなければ時効の中断の効力は生じません。つまり、確実に時効の中断を図る場合には訴訟や支払督促を検討することが大切になります。

なお、内容証明郵便による発送は催告の一つの手法として行われることが多いですが、これはあくまでも時効完成日を6か月先延ばししているだけにすぎず、どちらかというと債務者への債務の履行を促すための心理的な圧力をかけることが主眼になると考えた方がいいでしょう。

4.債権の回収方法

具体的な債権の回収方法を見ていきましょう。

債権の回収は裁判外で個別に債務の履行を促す試みを行うことがまずは何よりも大切になりますが、上記の通り時効期間の関係もあるため、頃合いをみて裁判上の手続で時効の中断を図りつつその回収を図ることを検討していくことが大切です。

手法としては、通常訴訟、少額訴訟、支払督促等がそれにあたります。

<通常訴訟>

判決までの期間や訴訟費用等のデメリットもありますが、他の手法に比べ最も確実に債権を回収できる方法です。

<少額訴訟>

金銭請求金額が60万円以下の場合に用いられる手法で、審理は1日で終了し、その翌日から2週間以内に当事者が異議を申し立てなければ判決は確定します。

<支払督促>

裁判所を通じて相手方に金銭の支払いを請求することです。費用面や手続面で最も負担が少ない方法で、相手方が2週間以内に支払督促についての異議を申立てなければ仮執行宣言の申立をすることで、相手方に対して強制執行を行う許可を取得することができます。

5.強制執行と仮差押え

裁判上の手続を経て判決得られればその支払いに応じる債務者も中にはいますが、それでも支払に応じない債務者もいます。

その場合には、強制執行を検討していくことになりますが、不動産執行や債権執行がその代表になります。不動産は債務者が隠匿することが難しいため、不動産執行は債権者が強制執行の手段として選択しやすい手法になります。
その他預金債権や売掛債権等に対する債権執行もあり得ますが、債務者の口座情報や販売先情報等がない限りなかなかその実行が難しいのも現実です。また、これら手続の検討にも相応の時間的な準備が必要となりますので、その間に債務者による財産の隠匿や他への移転等の恐れがある場合には、執行対象財産を仮差押えしておくことも検討する場合があります。

6.まとめ

商品・サービスを売るだけではなく、代金を回収して初めて一連の販売活動が終わるということを忘れることなく取引を進めていくことが大切となります。また、取引実行前に相手方の与信調査やその後の与信管理もしっかりと行って、債権の回収漏れがないような取り組みを行っていきましょう。

債権回収・売掛金の相談事例

2018年01月20日 05時53分(匿名さんの相談)

これまで信用取引で当社製品の販売月の3か月先入金で当社製品のお支払をしてもらっていました。ただ、最近取引先の事業環境が厳しくなっているようで、資金繰りが厳しくなったということを噂で聞きました。
当社も色々理由をつけて入金サイクルを3か月から1か月に早めてもらうなど、極力代金引き取り決済販売に近づけようとしてきましたが、それはかないませんでした。。
数か月後、ついに販売代金の入金がなくなり...

3件の書き込み/ 1名の士業・コンサルタントが回答
2019年04月18日 02時13分(T.Kさんの相談)

一昨年度に納品した売掛金債権の回収が滞ったままです。先方は特に倒産したわけではないのですが、このまま何もせずに貸借対照表に計上しておくのも違和感があります。現在、内容証明郵便の送付を計画していますが、それをもっても支払いに応じてくれなければ取り急ぎで売掛金を損失処理しても大丈夫でしょうか。まわりに経理に詳しいメンバーがいないため教えて頂ければ幸いでございます。

1件の書き込み/ 1名の士業・コンサルタントが回答
ベストアンサーがあります
2019年04月04日 13時58分(匿名さんの相談)

私は、財務経理部に属しているものですが、営業担当者から、新たに商取引を開始したい先がある旨相談を受けました。
どのように与信調査すれば良いか悩んでいます。ご相談させて頂けないでしょうか?

2件の書き込み/ 1名の士業・コンサルタントが回答
ベストアンサーがあります
2019年04月01日 23時47分(**waさんの相談)

当社は当方の一人会社(株主=経営者)です。現在、貸付金と株式というかたちで当方から会社に資金を供給しています。いずれの資金も運転資金と設備資金として資金を供給していますが、想定よりも赤字が膨らんでいて貸借対照表上の純資産がマイナスになりそうです。そこで、貸付金を株式に変えるデットエクイティスワップという手法を考えていますが、そもそもその効果についてどのように考えればいいのかよくわかっていませ...

1件の書き込み/ 1名の士業・コンサルタントが回答
2019年03月06日 19時12分(Kakuさんさんの相談)

個人事業主です。得意先からの売掛金回収が遅延しています。契約書で遅延損害金(ペナルティ利率)を規定していません。この場合得意先にペナルティ利率も請求したいのですが、契約書でペナルティ利率を定義しなかった場合の法定利率はどのようになりますか?年6%はもう廃止されたのでしょうか?

2件の書き込み/ 1名の士業・コンサルタントが回答
ベストアンサーがあります

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